三増峠④外小話:甲斐善光寺

さて、小話もこのシリーズでは、最後になると思いますが、今回は甲斐善光寺です。(写真①
①甲斐善光寺

正直、驚きました。

甲斐善光寺が、あの有名な川中島の戦いの時に、現在の長野市にある信濃善光寺から、本尊を戦火から避難させる目的で、武田信玄が甲斐に持ち帰り、甲府に善光寺を建てて暫く本尊を置いておいた。

という知識くらいしか無かったのですが、実は、この善光寺ご本尊様、戦国時代にこれ程多くの有名な武将たちを遍歴して回った本尊なのですね。

②甲斐善光寺本堂
普通は、全国津々浦々、歴史上有名な方が、そこに設置してある有名な仏像なり本尊なりに詣でてくることは沢山あっても、本尊自ら全国行脚のように、あちこち出回ったというのは、私の知る限り、この善光寺本尊だけです。

簡単に本尊(善光寺如来)が戦国期に移動した順を追いますと

①信濃善光寺(現在地)

(②新潟直江津へ上杉謙信がやはり川中島の戦いの戦火を避けるためで持って帰った。但し偽物だったらしい?)

③1558年 甲斐へ武田信玄が川中島の戦いの戦火を避けるためで持って帰った(甲斐善光寺建立)   

④1582年 武田氏が滅びると、織田信雄が愛知県清洲城下へ持っていく

⑤1583年 織田氏が滅びると、徳川家康が甲斐善光寺へ本尊を戻す(写真②

⑥1596年 豊臣の方広寺の大仏が地震により倒壊したので、代わりに甲斐善光寺から本尊を方広寺の大仏殿に設置する

⑦1598年 本尊は信濃善光寺に戻される(現在地)

いや~ざっと戦国期40年間の旅に出た訳で、上杉謙信やら武田信玄やら織田信雄、徳川家康、豊臣秀吉と、時代の主流派に会ってきた旅のようですね。

写真③は、前回甲府盆地が雲海の中との説明やら写真を掲載しましたが、要はその雲海の中ということが良く分かる写真ですね。この善光寺を遠望する辺りは板垣の里と言われ、武田四天王の1人、板垣氏の所領だったところのようです。(写真③
③雲海の下の板垣の里

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三増峠③外小話:御旗

さて、前回武田家家宝「御旗・楯無」の「楯無」鎧について、菅田天神社にオリジナルを求めて行った話を書きましたが、今回は「御旗」です。 これは見ることができました。菅田天神社から、北東に国道411号を上ること30分。あの超長編小説で有名な「大菩薩峠」近くの雲峰寺というところです。(写真①
①雲峰寺

横を笛吹川源流が流れており、風光明媚な場所ですね。(写真②
②笛吹川源流

雲峰寺というだけに、以前、Facebookでも公開した甲府盆地の雲海も、このお寺でも写真のように見えました。なんとなくこの辺り、「雲」の付く寺社が多い気がします。やはりこのような雲海が良く見られるからなのですかね?(写真③
見学料300円を払うと、孫子の風林火山の旗等と一緒に「御旗」のオリジナルを見ることが出来ます。 見つけた「御旗」のオリジナルは、やはり年代を感じるくすんだ赤の大丸でした。(写真④
④「御旗」

なんか見たデザインだなあと思っていると、どうやらこれが最古の「日の丸」らしいですね。1056年と言いますので、平安時代末期です。そりゃあ、くすみますよね。 御旗・楯無もご照覧あれ! いつか、この御旗と楯無のオリジナル2つを同じ場所に並べて、この武田家が代々言ってきた言葉を、私たちも言ってみたいものです。

---Blog「マイナー・史跡巡り」(三増峠の戦い① ~武田信玄vs北条氏康~)
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三増峠②外小話:楯無

最後の紅葉の写真です。(写真①
①菅田天神の紅葉
場所は、菅田天神社。(写真②

②菅田天神社
今回武田義信の東光寺だけでなく中学生から35年間、何度も甲府に武田の調査には行くのですが、肝心の武田家の家宝である「御旗・楯無」の本物を見たことが無いので、それを探しに行きました。
まず「楯無」。これは小桜韋威鎧という平安時代末期の美しいが男性的な源氏の鎧でして、大好きな鎧です。(写真③
③楯無
これが菅田天神社にあるのですが、残念ながら、写真④のように倉のような物の中に収められ見ることは出来ませんでした。(写真④
④「楯無」が納められた蔵(天神社内)

でも、深紅の紅葉が見れたので満足です。また公開の時に来ようと思います。



「御旗・楯無もごあれ!」 武田家が一家の大事な時にこの鎧と御旗(日の丸)の前で、先祖代々に誓った言葉です。 この誓いを勝頼が長篠の戦の前にしてしまったが故、無謀な騎馬隊殲滅となってしまった事は有名ですね。(写真⑤
⑤長篠の古戦場に建つ防馬柵
それでは!また!





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三増峠①外小話:花梨

【関連ブログ:http://tamaki39.blogspot.jp/2016/11/vs.html

さて、20日に甲府の東光寺に行った時、綺麗に紅葉している庭園の砂利で変わったものを見つけました。

砂利が丸く掃き清められた真ん中に奇妙な黄色い実が置いてあります。

なんだろう?と思って見渡すと、黄色に紅葉した花梨の大木が植わっています。(写真①
①東光寺にある花梨の大木

それの実でした。
そして、砂利の横に、ご自由にお持ちください。との但し書き。(写真②
②枯山水の真ん中に花梨の実があるのがさすが(笑)

げんこつ以外貰えるものなら何でも貰う主義の私は、早速良さそうなのを一つ。(笑)


持って帰った花梨を、今も部屋に置いているのですが、以来、良い芳香がずっと流れ続けています。

また得した気分です。これも義理堅い武田義信の紅葉以外のお礼でしょうか?

最後の写真にあるように、甲府では多くの家の庭に花梨の樹がありました。(写真③)

③多くの民家に花梨の木があります
あまり横浜では見掛けない光景なのですが、甲州の人は花梨が好きなのですかね?

---マイナー・史跡巡り関連ブログ(三増峠の戦い① ~武田信玄vs北条氏康~)


2016 CEATEC in Japanについて

レノボさんの後ろに富士通さんのブースが・・・
CEATECが幕張メッセで開始されましたので、早速行ってきました。

1.頑張る国内製造メーカー

入場して直ぐに、気が付いたのですが、なんとレノボさんのブースのすぐ後ろに富士通さんが。

昨日、10月6日に富士通さんがパソコン事業を中国レノボ・グループ傘下で再建する方針を固めたことに、「またですか~」と少々食傷気味だっただけに、ちょっとテンションダウンです。

シャープさんの360度モニタブース

8月にシャープさんが、鴻海(ホンハイ)に買収されてますでしょ?また中国にやられたか~って感じだったのです。

ところがなかなか富士通さんのブース、盛況でしたね。まあ再建はパソコン事業だけの話ですからね。

今回のCEATECは、展示会全体のテーマとしてIoT(Internet Of Things)を標榜しています。

 医療・教育・農業等々幅広にわたってのITソリューション展開に強い富士通さんは、それらの各分野に置いても、ICTやクラウド技術を中心にがんがん攻めている感じでした。

次に先程話が出た鴻海に買収されたシャープさんのブース。(写真右)

こちらも盛況でした。まあるく360度モニタの仕掛けをブース内に設け、人をブース内に入れてしまう手法は、いつもブース外に人が溢れて通行の妨げになる作りと違い、「流石、目の付け所がシャープだなあ」と感心しました。




パナソニックさんのショーウィンドウ
そのモニタでシャープの今までの振り返りの映像等が始まると、日本の家電メーカが如何に頑張ってきたのか、ユーザ目線で色々と工夫をしてきたのかということを、押し付けがましくなくメッセージされ、少々ホロリとさせるものがありました。

これも鴻海には成りきらないよということの裏返しのメッセージのような感じもしますが。

勿論、そんな懐古主義ではIoTの世界では戦えません。未来の楽しいAI家電がクラウドを介して連携することにより、生活を豊かにするストーリーに展開して、めでたしめでたしの映像を見せてくれました。

なんか元気でました。富士通さんも、シャープさんもまだまだ大丈夫です!

他にも、パナソニックさんは、ショーウィンドウのガラスに動画を流し雰囲気を演出する等の展示(写真右)や、日立さんの現場センシングによるノウハウの蓄積等、生活とインダストリアルの両面で、日本の製造メーカーの健闘に感動しました!

2.自動車メーカーもなかなか

MIRAIの構造(黄色いのが水素タンク)
次に目立ったのが、自動車メーカーですね。

やはりIoTは、自動運転等の話題が豊富だからでしょうか?

近未来ということで、トヨタさんから燃料電池車のMIRAIが展示されていました。(写真右)

IoTとは関係ありませんが、写真の黄色いのが水素が入ったタンクです。結構大きいのがトランクと、この後部座席の下にあります。

トヨタさんの技術者の話だと、散々試験をしているので、爆発する可能性は無いとのことです。

また火災などで周囲が高温になった時には、センサーにより、高圧力の爆発を引き起こさないように、少しずつ水素を抜き、圧力を落とすような技術も取り入れられているようです。


IoTとは何も「便利・快適」だけではなくて、こういう「安全」にも寄与するように採り入れられているのですね。

3.ロボット狂創曲

トヨタさん等の自動車メーカや製造メーカ等から、かわいいロボットも沢山出展されていました。

ただかわいいだけでなく、AI(人工知能)を搭載した非常に賢い子たちです。

展示会に必ずいらっしゃるコンパニオンの人気を一部奪っている感があります(!?)

ドローンの多機能もAIにより実現
ドローンも凄いです。

電池切れを予測して自動で発進した場所へ戻る機能や、障害物センサーで障害物を避ける機能、電波が届かなくなっても自律で戻ってくる機能、落下しても、地上30cmで停止し、最終的な着陸判断をスマホ上に促す機能 などなど。AIを駆使してますよ。


昔ラジコン系は操作に習熟するまでに壊してしまうのがオチでしたが、AIを使ったこのドローンなら初心者の私でも上空からの映像を存分に楽しめそうです。


どうやら、ロボットも、単なるIoTではなくて、AIとIoTが合体した造語「AIoT」が、これからのキーワードになりそうな予感がします。

久しぶりにユーザ目線の良い展示会を見ることが出来たという充足感を得ました。

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邦画流行り

最近、「シン・ゴジラ」や「君の名は。」等をはじめ、映画流行りですね。私も楽しんできました。

しかも、邦画が人気映画の主力。一昔前のハリウッド全盛の頃には考えられない状況です。最近は昔のように強くて憧れる米国という影響力を持つ映画もめっきり減ったように感じます。

これは映画の一時の流行り廃りだけの話ではないのかもしれません。

平安時代に日本が唐から学ぶものが無くなり、遣唐使を止めた直後から、国風文化が花開いたのと同じように、今、まさにクールジャパンで、様々な分野における日本人の感性が噴出しているのではないでしょうか?

海外からの観光客も増加していますし、映画もその中の一環のような気がします。

とは言うものの、まだまだ国内で楽しむには素晴らしい作品達も、国際的に通用するかどうかは分かりません。


クールジャパン頑張っていきたいものです。

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ネット時代の旧メディア考察② ~ラジオはどうなる?~


さて、前回のブログで、ネット時代になっても、旧メディアの中でTVだけは、ネットとの相乗効果で売上は伸びていることを考察しました。

http://i-tamaki.blogspot.jp/2016/05/blog-post_26.html


売上が落ちているラジオについては、どうでしょうか?(下図)

民間放送事業者の1社当たりの売上高の推移   
     出典:電気通信協会 第76回特別講演会資料抜粋

雑誌や新聞等は、もろネットとぶつかるので当然減りますが、映像が伴わないラジオ等も当然大きな対象となります。

勿論、ラジオもPush型で、聞いている人に商品イメージを伝えるのはTVと同じです。

ただ、やはり普通の商品を宣伝するなら映像系にはかなわない。

最近のラジオの宣伝は特にこの傾向が顕著で、宣伝しているのは、保険や不動産、会社名等のビジュアル系を伴わない商品が多いですね。

先程のTVの視聴率の推移同様、ラジオの視聴率は間違いなく下がっています。

Podcastもラジオを聞かなくさせている原因の一つです。ラジオのように時間と場所に制約されることなく、いつでもどこでも聞けるのですから。

そういう訳で、ラジオは消えゆくメディアにならないかと少々心配になります。

と分析していたら、TBSラジオ、急に30程度ある番組全てのPodcastを止めて、ストリーミングサービスであるTBSクラウドへの移行を表明しました。

TBSラジオは2005年にアップルがPodcast機能を付与した直後から、ラジオ放送をPodcast化して配布していた先進的な取組をしました。私がPodcastを聞き始めたのも、その頃で当時から10年以上、TBSラジオは聞いていたので、今回の報道には驚きました。

やはり私と同じ想いの人は多いと思います。なにせ登録ユーザ数300万人、ダウンロードが5000万回/月ととてつもない規模になっていたようです。放送終了後、迅速にPodcastが提供出来るように、サーバの増設等を繰り返し、ついには年間5,6千万円の維持費にまで発展したようです。

そんな中で、宣伝を入れる等の努力は続けたものの、有効なビジネスモデルを描くことが出来ず、赤字垂れ流し的なサービスを続けるのが困難なため、Podcast配信停止との事です。

一見、理屈はあっていると思います。

ただ、幾らストリーミングサービス「TBSラジオクラウド」へのサービス移行、Podcastは発展的解消だとTBSさんが主張しても、視聴者は騙されません。

これは明らかにサービス後退だと思います。時間と場所を選ばないということに関して、ストリーミングサービスは、Podcastには絶対勝てないからです。

Podcastでも有名であり、私も愛聴していた
ラジオ番組「デイ・キャッチ」
実際、7月1日から、ストリーミングサービスを利用していますが、配信時間になるとアクセスが集中するせいか、ストリーミングが流れないことが多いですし、やはり溜め込み等が出来ない等、これから改善して行っても、Podcast以上のサービスに成れる雰囲気ではないですね。

ダウンロードだからこそ、負荷分散が図られるのです。クラウド技術をTBSさんは過信しているのではないでしょうか?

ビジネスモデルが描けないと言う、TBSさんの言い訳も良く分かりません。

ダウンロードしたユーザの特定が難しく、ユーザのポートフォーリオが描けないから、効果的な宣伝を打つことが出来ないとのことですが、Podcastに登録する際に、年齢や男性・女性等、必要なアイデンティティを記録させるようにすればマクロ的かもしれませんが、ユーザのポートフォーリオは描けるはずです。

というか、そもそもラジオ放送でも、ユーザの特定は難しく、モニタリングやアンケート等でマクロ的に把握することしか出来ないのではないでしょうか?

と考えると効果的な宣伝を打てないのは、ダウンロード型であるPodcastのせいでは無いような気がします。

やはり、ネット時代にストリーミングは、時代に逆行しますよ。電波が届く時にネットから取り溜めたものを、時間や場所を気にせずに聞くことができるというユビキタス性に制約が掛かります。

ですので、苦しくても、Podcast上での広告ビジネスモデルを、いの一番に獲得出来る位、TBSさんには頑張って貰いたかったです。ちょっと残念。

このまま、ラジオ自体が防災向けにしか発展の余地が無く、サイマル放送に見られるように災対用としてのNHKしか生き残らないなんて最悪の事態にならないように頑張って貰いたいものです。

のぼうの城

今回、Facebookのオフ会で「のぼうの城」事忍城へ行くことになり、その前にと思って、和田竜の「のぼうの城」を読みました。

2012年の映画も勿論見ました。驚くべきことに殆ど映画と変わらないですね。

普通は映画は長い小説をデフォルメするせいか、原作とはかなり違うことが多いと思いますが、この小説は映画と全く同じです。

強いて言うなら、主人公の「のぼう」が大男なのに対して、演じる野村萬斎は、そう大きくは無いという位でしょうか?

まあ、この小説が当初は無名のデビュー作であったことも、このまま映画化されたことと関係あるのでしょうが、こんな小説に出来る程の大立ち回りが、豊臣の北条攻めの時に、小田原城の支城であったとは驚きです。

小説の中、生き生きしていますよね。キャラクターが。

そのまま映画に出来る訳です。

ただ、皆さんもご存じのように、あまりに話が生き生きしている場合は、多少誇張されている話が混ざっていることが多いです。

今回のこの小説、実際はどうだったのかを、本の舞台となった埼玉県行田市の忍城等に行って調査しました。

結論として、やはり少々ありました。

ただ、個々で仔細を書いてしまうと、かなりのネタバレになってしまいますので、詳細は、マイナー史跡巡りの方で、書きたいと思います。

小説の核となる石田堤の場所にて
(堤を築くのに俵を運んだ)
ただ、やはり現地に行くと本当に色々と分かりますね。

この小説を書くにあたり、和田竜さんは何度も行田市に足を運んで、調べられたと行田市市役所の方はおっしゃっていました。

ですので、和田さんご自身、どこまでが真実で、どこからが通説なのかを十分に分かられた上で、書かれていらっしゃるのでしょう。

こういう小説を人生で一度は書いてみたいなあと痛感する二冊でした。笑

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ネット時代の旧メディア考察① ~テレビはやはり強い?~

私は、Podcastを利用して日々のラジオを聞くという生活を、iPod nanoの第1世代が発売された2006年から、かれこれ10年続けています。

現在はXperia等のスマホで、10年前から聞いているTBSラジオの森本達郎さんや、荒川強啓さん、
iPod nano 第1世代
伊藤洋一さんらの番組を、長年のお友達気分で聴いています。

やはり、朝のラッシュ時の電車の中や、歩いている最中等、スマホを見ることが出来ないシチュエーション時、いわば「~ながら」のリスニングは、注意力が散漫になる、危険等と非難の声もありますが、なんとなく、効率が良いように感じられ、止めることは出来ない状況です。

一方、世間では、インターネットが、テレビやラジオ、新聞、雑誌等の旧メディアの売り上げを減少させていると言われて久しいです。

これがいつ頃から言われ始めたかを調べると、大体、上記のiPod nanoの第一世代が発売された頃と一致します。

1.放送メディアの売上推移について

そこで、インターネットによって既存メディアが、どれ位売り上げが減少しているかを調査しました。

それが、下図のグラフです。

民間放送事業者の1社当たりの売上高の推移   
     出典:電気通信協会 第76回特別講演会資料抜粋
この図は、平成5年の1社当たりの平均売上高を100として、各年度の1社当たりの平均売上高をプロットしたものです。

驚きませんか?まずTVですが、全然売上が落ちていません。インターネットの影響で減少するどころか、逆に伸びています。

ラジオについては、FM、AMともに予想通り下がっています。特にAMはひどい。

これはどう考えればいいのでしょうか?

2.ネットとTVは相性がいい?

映像系については、ネットとTVとは、自然と役割分担がしっかり出来てしまっていると思います。

例えば、YouTubeに幾ら動画宣伝を出しても、知名度が無ければ見に行く人は稀でしょう。
また、ある商品の詳細情報をTVに求める人はおらず、それはネット検索を頼りますね。

つまり、TVは、見ている人に商品情報を圧してくるPush型、商品の詳細を知りたい人は、ネット検索で情報を牽いてくるPull型と、役割分担が、自然にかつ綺麗に出来ているのです。

出典:http://www.garbagenews.net/archives/2020115.html
これは車の両輪のような相乗効果がある訳です。

なので、TVで商品が宣伝される程、ネットでも検索が盛んになり、益々商品は売れます。

これは、雑誌等のメディアとは大違いですね。

上の図を見てください。

この図の「HUT」とはテレビの総世帯視聴率(Households Using Television、テレビをつけている世帯)を意味します。

ずっと落ちていますね。視聴率の年々の低下は、やはりスマホ利用時間の増大に伴うものと考えられます。

視聴率は落ちているのに、宣伝広告モデルによる収益は伸びている。不思議です。

多分、TVの見方も、最近は「ながら見」(何かをしながら見る見方)が主流となっていることを意識して、宣伝の出し方を工夫しているのでしょうね。パッと見のイメージや、雰囲気的なものなど。スマホ・タブレット等との役割・機能分担を意識すれば、それなりのコンテンツが出来ると思います。

まあ、当面TVは大丈夫そうですね。よかった、よかった。

しかし、ラジオは??

長くなりましたので、今日はここまでにして、次回はラジオについて考えてみたいと思います。

ボタニカル・ライフ

こういうのいいなあ。

肩肘張らずに、ベランダで植栽。メダカや昆虫等も入って、小さな、いとうせいこうワールドが出来ているのです。

「ガーデナー」を庭を持つブルジョア的、のように自己定義的に捉え、これに対し狭いベランダで植栽している自分を「ベランダ―」と自称し、一線を画したがるあたりの中年男性の拘りが、可愛いと言うのか、ポーズを取っているというのか。。。

時々、自分の溺愛する鉢植物らの擬人化表現が面白すぎて、笑い転げさせられます。
一方、ある話は、植物や昆虫、メダカ等の小動物の命に対する真摯な想いというか、いとうせいこうさんの彼ら(?)生命に対する深い愛を感じることがあり、ホロリとさせられることもあります。

元々ブログとして書いていたものらしいですが、緩急極めりという感じですね。

「上手いなあ」とため息が出ます。

これをさらっと、ブログで書けるあたりが、流石根っからのプロという感じです。

ちなみに、NHKの番組で、この本が原作のドラマを演っていますが、あれは植物をトリガにした人間関係がメインの話なので、原作とは全然違う話だと考えて良いと思います。それはそれで面白いですが・・・

続編もあるようなので、楽しみです。脱力系読書家向きですね。

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うらなり


「坊ちゃん」を若い頃に読まれた方は多いと思います。

うらなりと言うキャラクターを覚えていますか?

四国松山の古賀さんという真面目だけど、少々陰気くさいキャラクターが出て来て、赤シャツなる策士に婚約者であるマドンナを横取りされるために、巧妙に宮崎の延岡に飛ばされる。

若い頃、読んだ時は、「自分は絶対、うらなりタイプではない」と思った方も多いのではないでしょうか?

坊ちゃんは、彼独特の正義感から、このうらなりに過分に同情し、同じく正義感の強い山嵐と、赤シャツらを懲らしめに入る。むしろ、若い頃は、自分を坊ちゃんや山嵐的な正義感の強い人間に重ね合わせて読まれる方の方が多いと思います。

ただ、うらなりも当然、正義感はあります。ある意味、坊ちゃんや山嵐は、蛮勇の持ち主であり、今の時代の多くの方には当てはまらないのではないかと思います。(暴力ふるったり、玉子投げつける等の大人はあまり見ませんものね。)

むしろ、うらなりの方が温厚でサラリーマンの鏡のような感じがします。

特に、ある程度、人生の深みを経験して来た歳になると、うらなりこそが、自分の人生と重ね合わせられるキャラクターなのだと気が付くはずです。

彼の人生にドラマチックな展開は起きません。淡々と働き、妻を貰い、家族が出来、孫が出来、そして妻に先立たれるという、坊ちゃん事件以降の彼の人生が、時代の変遷と伴に淡々と描かれています。

マドンナとの再会でさえ・・・

そして、小説の最後、うらなりの現状を記した49文字は、「やはり、そうなるのかな」と思わせるものですね。

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あの日


なんとなく小保方さんの「あの日」を読んでしましました。

「STAP細胞は、あります!」

の言葉でも有名になった小保方さんは、この言葉も勿論そうですけど、およそ、論理的・客観的思考と文章を作成し続けるリケジョとは思えない程、感情的な言葉の表現が上手いと思います。

この本の中でも

「私の心は正しくなかったのか」

「これまでの生き方全部が間違っていたのか」

「ただただ涙がこぼれた」

「業火に焼かれ続ける無機質になった」

これらの言葉は、冷飯食いだと自認する人には多少なりとも染みる言葉です。

そして、読むほどに

「渡る世間は鬼ばかり」

と小保方さんが感じているのがひしひしと伝わり、いつの間にか、実名で語られる人々が本当に鬼に見えてきます。

そして、小保方さん、かわいそうと。

気が付くと、彼女が被害者であるかの如く読める訳です。

ただ、彼女は上記のような感情表現が豊かな分だけ、客観的事実についての論拠は、この本の中でも大変薄いと思います。
研究の進め方や内容については、素人にも分かりやすく、客観性も十分持たせた表現になっているのですが、反面、本の冒頭部分から、小保方さんが「未熟だった」と自ら反省するのは、具体的に何に対して反省しているのか、どこまでが自分の不始末で、どこからが実名の方の不始末だと考えているのか、その論拠は何なのかが、非常に曖昧だと感じますね。

真実がどこにあるのかは、この本を読んだだけでは、断じられないですね。。

小保方さんは、如何に精神的つらい取り調べだったか、反論の余地が無かったか、脅威だったかを滔々と述べています。
しかし、それ自体がイコール客観的な事実に基づく調査が行われなかったという証拠にはならないのに、なんとなく感情的には事実ではないことに基づく調査であるように錯覚しやすい書き方のように感じます。

ただ、一つだけ、研究の現場に 起きやすいこととして、研究成果の実績の大小が、組織の中における偉さに結びつく比重が、資質云々より高いように思われます。

素晴らしい実績を作った、それらの人は報われなければならない、そこで高い役職と報酬、資質は二の次、というか資質については良く分からないって言う感じ、これは脆いですよ。

素晴らしい実績を作った人に対して、報いを与えるのは必須です。

ただ、マネージメント的に高い立場に立たせるかどうかの判断は過去の実績に対しての比重より、あくまで資質に重きを置いた上で決定すべきなのでしょう。

なので、今回の件も、資質について、事件が起きてから、「研究者としての資質なし」なんて言うのは、このような実績重視主義のお粗末な結果ではないでしょうか。

ユニットリーダになる前に、どれくらい資質を観られたのでしょうか。

このような仕組みが、小保方さんの被害者意識の中にも入っているのだと思います。

小保方さんが「私の心は正しくなかったのか」と言っている言葉の裏には、以下の気持ちがあるのではないでしょうか。

「今まで、私の心は正しいと認めてきたのに、どうして今更『やっぱ、正しくない』って言うの?」
「どうして今更なの?、だったら事件発生前からそう言ってほしかった。」

この事件を契機に、日本の研究組織全体が「実績」より「資質」に重きを置いた組織体制に変化することを期待するばかりです。

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宮本武蔵

青空文庫で1年越しで、吉川英治のこの本を読みました。

「お前は中高生か?」とか、「本のセレクトが貧乏くさい」(青空文庫なので無料)、更には「物の思考が直線的すぎるのでは?」等と散々馬鹿にされながらも、1年間、この長編をチビチビと、他の本と乱読状態ですが、読み切っちゃいました。

面白かったですよ。『バカボンド』の井上雄彦氏程は感動できていないと思いますが・・・( ´∀` )

一番感心したのは、この本が戦前に書かれたということですね。軍国主義の国威発揚の観点からすれば、「武蔵こと剣豪は当然ヒーロー仕立てにするべき」という、それこそ直線的な考え方かと思いきや、かなり葛藤の多い「悩み多き剣豪」を描いているところが、流石吉川英治。井上氏が感動するのも、ただ単に強い剣豪ではない吉川英治の描写なのでしょう。

若い頃読まれた方多いと思いますが、是非もう一度。笑

お正月特別番組等、何度もテレビで見たから良く知っている。と言う方は是非一度本で。いかがでしょうか?

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