首洗井戸 ~雛鶴姫~ 小話

さて、ちょっと話が戻りますが、現代のJKがタイムスリップして雛鶴姫となり護良親王と恋愛をする。これまた今の流行りのようにタイムスリップ恋愛もので作り上げた「キミノ名ヲ。」(絵①

「キミノ名ヲ。」第1巻 主人公は雛鶴姫
名前まで、かの有名なタイムスリップものの恋愛アニメ映画と似ていますが、こちらの方が作られたのが古く、なんらパクリはありません。

それどころか、時代考証が意外としっかりしています。

今回拙著のブログの中では、全く出てこなかった北畠顕家がこの小説では重要人物として描かれています。(絵②
実はこの美男子が、かなり雛鶴姫に横恋慕し、雛鶴姫の心を乱すと同時に、時の有力者の子なので、最強のパトロン的支援をします。

小説の中では、護良親王をはじめ、皆から肌が女のように白いから、「真白」(ましろ)とあだ名で呼ばれていましたが、実際過去の文献でも「真白」と呼ばれていたとの記述がありました。

へーそーなのー、面白ーいと思っていたら、もう一つ上手く史実と話を溶け込ませたエピソードがありました。

それは、現代からJK雛鶴姫と一緒にタイムスリップしてきた弟くんが、彼と孫子の兵法について議論をするのですが、それで孫子のあの「風林火山」を旗にすることをほのめかします。小説の中で明確に武田信玄の「風林火山」だとは言っていませんが、どうも現代から来た弟くんは良く知っている「風林火山」を真白に教えたようなくだりがあるのです。

史実、「風林火山」の旗印を初めて使った武将は、武田信玄ではなくて、北畠顕家となっています。(写真③
③「信玄祭り」における孫子の旗 風林火山
上手いですよね。こういう描き方。分かる人にしか分からない。

ということで、皆さんも是非「キミノ名ヲ。」を読まれ、これらの伏線も楽しまれてはいかがでしょうか?


いつものお願いで恐縮ですが、励みになりますので「日本史人気ブログランキング」のポチを宜しくお願いします。