石橋山合戦 小話③ しとどの窟

思いがけないことで、「土肥の大椙跡」を発見出来た後、当初計画していた「しとどの窟」へ向かいます。

途中、前回のブログでも少し話が出た箱根のレーダー局の脇を通ります。
(写真①)

①レーダー局
国土交通省のレーダーのようですが、何に使うのでしょうか。私が小学校1年生の時、家族旅行で箱根・真鶴に行った時の絵日記に描いていますから、かれこれ40年以上はここにあり、防衛関係の歴史があるのでしょうね、やはり。

と考えながら、車で下って行くと、「しとどの窟」と書かれた看板を発見。
ただ、まだまだかなり標高は高く、ここから真鶴までは相当山を下らなければなりません。頼朝が舟で脱出するまでの隠れ家としては、海から離れすぎている気もします。

この看板横から、頼朝が舟で脱出をした真鶴方面を写したのが写真②です。
(写真②)
②しとどの窟の入り口辺りから真鶴方面を望む
(手前、初島が見えます。奥は大島)
ちょっと、距離ありますよね。まあ、海岸沿いになればなるほど、人家も多く、幾ら土肥実平の所領と言っても、平家軍への口止めが必ずしも効く訳ではないのですから、2~3日逗留するには、これくらい山奥でないとダメなのかもしれません。

駐車場に車を止めて、早速歩き始めます。前回の「土肥の大椙」の獣道に比べれば、舗装された道路、安心して進むことが出来ます。

駐車場から100mくらい歩くと、トンネルがあります。歩いて山の反対側に出ます。(写真③)
③トンネルを抜けて参道入り口へ
ちょっと開けた場所に出ますが、ここが「しとどの窟」への参道入り口です。(写真④)
④参道入り口
ここから、「しとどの窟」へは、かなり下っています。
ということは、また帰りはえらく登りになるなあ、と先程の土肥の大椙跡発見行程のトラウマが・・・

兎に角、てってこ、てってこ、参道の坂を下って行きます。(写真⑤)

驚くことに、日曜日の日中にも係らず、またこの参道でも私1人しかいないのです。
⑤「しとどの窟」への参道
この有名な「しとどの窟」でもです。
そうなると、ところどころに写真⑥のような地蔵があるのですが、妙にリアルな表情なので、ちょっと怖いです。(写真⑥)
⑥所々にリアルな表情の地蔵があります
つづら折りの階段を下りる事、15分くらい、結構距離あります。やっと標識が見えてきました。(写真⑦)
⑦あと80m
おっ、やっと着いた!と思ったのですが、違いますね。やたらに浅い岩の窟が続きます。
(写真⑧)
⑧やっと着いた!!
どうもここが本命の洞窟ではないようです。これでは7人どころか頼朝1人入るのも難しそう(笑)
(写真⑨)
⑨なんか奥が浅い洞窟です
ここまでずっと下りでしたが、ちょっとまた上ります。

「しとどの窟」もそうですが、この辺りの岩は、箱根外輪山の溶岩と火山砕屑物(噴火で放出された石や砂等)から出来ており、これらの窟は火山砕屑物の部分が割れて出来た洞なのです。

やっと、やっと、ありました。(写真⑩)
⑩着きました「しとどの窟」

この洞穴感、間違いありません。なんか沢山の鎌倉武士の霊がこちらを見ているようにも思える石仏たちが異様です。私しか居ませんし・・・・💦

しとどの窟から見える外界の景色は写真⑪のとおりですが、やはり、これでは梶原景時が頼朝らを見つけた時、ぬーっとは覗き込めません。(写真⑪)
⑪しとどの窟内から外界を見る
「しとど」の語源は「びっしょり濡れる」ということから、この窟は晴れているこの日でも水が滴り落ちていました。雨なぞ降った日には、かなり水量があるのでは?と思ってしまいます。(写真⑫)

頼朝らがこの窟に籠ったのは8月末、かなり蒸し暑かったことでしょう。
⑫窟の前をしとどに流れ落ちる水
実は、しとどの窟のいわれは、この話とは違った説が看板には書いてありました。

石橋山合戦の後の頼朝がこの窟に隠れていた時、平家の追手がこの窟を調査に来たのですが、「シトト」という鳥がこの窟から急に飛び出してきたので、人影がないものとして立ち去ったことより、「シトトの窟」⇒「しとどの窟」となったとの事です。(写真⑬)

⑬シトト

ほんとかなあ。なんかやはりこの水の滴り落ちから来る「しとど」が語源で、石橋山合戦の話と無理に絡めて、「シトト」という鳥が語源に話を換えたようにも感じますが・・・シトトの可愛さに免じて赦しましょう(笑)!

などと、思いつつも、頼朝が山木判官屋敷襲撃の源氏旗揚げから、石橋山合戦まで、大事に持っていた正観音を埋めた場所なのだと思うと、この場所での頼朝の心境の変化、脱皮振りが後の武家中心社会を創る原動力となった場所なのだなあと、来た甲斐を感じながら、元来た道を1人辿るのでした。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!



---Blog「マイナー・史跡巡り」(三浦一族② ~石橋山合戦~)
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