BtoBtoC
なにやら英語っぽくてカッコいい表現だが、要は他人の褌で相撲を取るあれだ。
文字で書くと分かると思うが、論理的には、
BtoC
BtoBtoC
BtoBtoBtoC
のように、幾らでもCの前のBを続けることが出来るが、これが、一昔前の下請け、再下請けのように見られる向きがあった。つまり一番大きな力を持つ企業は、Cへサービスを提供するB、つまりCの直前のBであって、その後のBは全て、このC直前のBに対して言われた通り、発注の通りに製品なりサービスなりを提供するというものであり、C直前のBに比して顧客に対して大きな影響力を持って居ない、いわば黒子というのが、従来の構造のような気がする。
その原因が製品やサービスの特性に対する情報というものを支配している顧客ニーズを把握できる企業がC直前のBであるからという理由が大きいというのが、一番単純化された理由であろう。
ところが、最近IoT等によりこの傾向が変わりつつある。
顧客ニーズというのは、つまり顧客がその製品・サービスに対しての一番のセンサーであったということ、クレームにしても、使い方のアンケートにしても、顧客以上のセンサーは無かった訳である。
ところが、IoT社会は、製品自体のセンシングや、製造ラインのセンシングが可能となったため、顧客へ製品・サービスを提供している企業以上に、製造している企業の方が製品に対する顧客のニーズ等が分かるようになってきたという次第である。
「お宅のどんなに優秀なパイロットよりも自分達の方が、燃費の良い飛行機の飛び方や飛行経路が分かりますよ。」
と提案したら、どうであろうか?
彼らは航空エンジンのデータを、製品完成後にもセンシングを膨大なデータベースにより、取得・集計しているのである。
これらのデータは、当然、その時の飛行機の飛び方や燃料効率のデータ等と併せて取得されるため、飛び方や経路等とどのような相関関係があるのかが分析され、先の提案のような事が言えるのである。
また、この運用中のセンシングにより、ダウンタイムをゼロにすると言ったようなエンジンの運用が可能ということである。つまり予知保全、定期的に検査・点検をしなくても、壊れる直前に直す、不要な点検は要らないという効率的なソリューションである。
勿論、これらの事は、航空機を製造している企業でも出来るが、彼らIoT活用企業の凄いところは、彼ら自身のデータ解析システム開発に力を入れて優れたものを作っただけではない。
その優れたシステムを自社の解析のためだけに使うのではなくて、他の会社が作ったモノの解析にも使ってほしいと惜しげもなくオープン化するのである。
であるため、例えば先の飛行経路や飛び方に対しても、彼らがそれらのオープン化されたデータ分析が一番上手くやれると同時に、航空エンジンの最適運用は、このGEのシステムを使わないと信用できないという状況を造、将来的には造ろうとしている。
これはGEのシステムのデファクト化を意味する。
このようなIoTの活用は、米国の動きだけではなく、現在ドイツでも、シーメンスやフォルクスワーゲン等がインダストリー4.0での製造現場等の革新から、大きなビジネススタイルの変革を目指すと息巻いており、期待されるところである。
さて、日本のキャリア企業が、このような構造変革を意識したBtoBtoCに今すぐ合致するものとはとても思えないが、少なくとも光の卸製品に対するセンシング技術を、得意のクラウドに集約し、GE以上の新しい製品提案に結び付けるようなモデルは描いて貰いたいものである。
それには、自社のノウハウが流出するから、開発したものは外に出せない等と言う狭量的な発想を捨て、GEのように惜しげもなくオープン化することが出来るかどうかが、成功するかしないかの一つのバロメータになるような気がするのは私だけであろうか。
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