さて、次の小話は、シリーズ前回のように重くない話ですが、違う意味で重い話です。
拙著ブログ「マイナー・史跡巡り:山田長政 ~タイ・アユタヤから~」2番目に出てくる写真、金ピカのスコータイ王朝時代の純金5.5トンの仏像とあります。(写真①)
①ワット・トライミットにある純金仏像 (表顔は写真④参照) |
時価にして120億円以上もするこの仏像、結構最近になって純金であることが分かったのです。1953年の事だそうで、このお寺自体は1238年に建立されていますから、ざっと715年間は、なんの変哲の無い全身漆喰が塗られているお粗末な仏像だったようです(写真②)
②漆喰が塗られていた以前の仏像 |
仏像の重量を大体その大きさから想定してクレーンを選定してきたのですが、異常な位重いのです。
無理して頑張ったところ、仏像を外に持ち出したところでクレーンは故障。翌日に作業は延長されました。
その日の晩は大雨で、仏像はかわいそうに吹き曝しになります。
ところが、翌日作業を開始しようと作業員がこの仏像をチェックすると、なんと剥がれかけた漆喰の隙間から金色の光が漏れているのです。
そこで、大騒ぎとなり、漆喰を全部剥がすと、御覧の通り純度60%、重さ5.5トン、高さ3mで時価総額120億円以上の仏像が出てきました。勿論、お寺は完全復帰、2度と廃寺の危機には見舞われないでしょうということになったのだそうです。
道理で、純金では重すぎる訳ですね。
後になって分かったのですが、これは800年位前のスコータイ王朝で作られたようです。
スコータイ王朝は、アユタヤ王朝と並走する時期がありますが、ゆくゆくはアユタヤ王朝に吸収されます。
ブログにも書きましたが、タイの王朝は、お隣のビルマ(ミャンマー)軍が攻め入ってくることにいつも苦労(というかアユタヤは全滅)しており、スコータイも同様にかなり攻められたようです。
ブログにも書きましたが、タイの王朝は、お隣のビルマ(ミャンマー)軍が攻め入ってくることにいつも苦労(というかアユタヤは全滅)しており、スコータイも同様にかなり攻められたようです。
その時に、ビルマ軍の略奪から逃れるために、わざわざこの純金の仏像に汚い漆喰を塗り固め、ブチャな作りにしてチャオプラヤ川に沈めていたものを引き上げました。(写真③)
③現在のチャオプラヤ川 ※行き交う船も多く、 昔からタイの重要な 交通手段となっている |
④今の金仏像の顔 (ウルトラマンみたい?) |
⑤ワット・トライミット |
お読みいただき、ありがとうございました。
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